🌿それは、前日の夕方に突然言われた
「俺、明日行かれないんだよ」
何気ない口調で、上司はそう言った。
──えっ?
明日は、先日自分たちが膨大な資料を使って説明した案件の続き。
しかも、先方の社長も同席すると聞いていた。
「えっ?行かれないって…どうするんですか?」
その問いに、上司は一言だけ。
「悪いけど、明日ひとりで行ってきてくれないか?」
冗談であってほしかった。
でも、顔は真剣だった。
🌿【迷いと恐怖】試されているのか、ただの都合なのか
一瞬で、頭の中がぐるぐる回り始めた。
・あの現場に、ひとりで?
・社長と対面するの、自分だけで?
・こないだ、社長が部下に厳しく当たってたの見てたよ…?
「自分が何か言い間違えたら?」
「質問に答えられなかったら?」
「この案件が自分のせいで崩れたら?」
逃げ出したい。
でも、もう逃げられない。
上司の口からは、もう“自分が行く”という選択肢は出てこなかった。
そして、自分も気づいたんだ。
──行くしかない。
🌿【その日、自分だけで向き合った交渉の場】
迎えた当日。
資料を再確認して、時間より少し早めに現地に着いた。
社長は落ち着いた口調だったけど、鋭い質問が何度も飛んできた。
でも、資料を指しながら、なんとか答えられた。
たぶん、相手は「上司がいない」ことより、「こっちの姿勢」を見ていた。
あの時間、自分が説明して、自分が判断して、自分が答えた。
緊張と不安と、ほんの少しの「やってやる」という気持ちが交錯していた。
🌿【結果より、あの場をやりきったことが残った】
帰り道。
肩から力が抜けて、駅のベンチでしばらく動けなかった。
でも、不思議と「怒られた」とか「失敗した」とか、そういう後悔はなかった。
ただ、「やりきった」という実感だけが、じんわりと残っていた。
上司は多くを語らなかった。
でも、あの時「行ってこい」と言われたことは、
自分の中では確かに“信頼された”ように感じている。
🌿【まとめ】いきなりの“本番”が、自分を変えることもある
社会人として経験を積んでいく中で、
「突然任される日」は、きっと誰にでもある。
準備不足、怖さ、不安…
それでも、逃げられない場面ってある。
その場をなんとか乗り越えたとき、
“あの経験があったから今の自分がある”って思える日が来る。
だから、もし今「うそでしょ!?」と思うような場面に立たされているなら、
その瞬間が、あなたの“強さ”を育てる第一歩かもしれません。
もしあなたが“上司が変わったことによって、求められることが大きく変わった経験”をお持ちなら、次の記事もきっと心に響くと思います。
👉 「え? これ、自分がやるんですか……?」──上司が変わって突然届いた“想定外のミッション”に、心が固まった日
コメント