■ 突然の報告。「部下がやらかしました」と言われたとき、あなたは?
その一報は、ある日突然やってきます。
「○○さんのミスで、納品が遅れました」
「□□さんの対応で、取引先が怒っています」
「ミスの影響で、関連部署が巻き込まれています」
──あなたの部下、または同じチームの仲間が“やらかした”瞬間。
それを最初に知らされたあなたの脳裏には、いろんな感情が駆け巡るはずです。
- 「なぜそんな初歩的なミスを…?」
- 「これは自分が謝りに行くしかないのか?」
- 「上にはどう報告すれば…?」
- 「関係部署に顔向けできない…」
自分がやったわけじゃないのに、自分が謝らなきゃいけない。
でもそれって、本当に自分の役割なのか──?
この問いは、職場でリーダーや中堅ポジションに立つ人なら誰でも1度は経験する“心の葛藤”かもしれません。
■ “叱るべきか”“守るべきか”で揺れる気持ち
こういう場面で、まず迷うのが「部下への向き合い方」。
- まずは叱るべきなのか?
- 落ち込んでいる様子なら、まずは受け止めるべきなのか?
- それとも先に外部対応を優先すべきか?
誰かを守ろうとすれば、誰かに非難される。
自分ばかりが責任を取っていれば、限界がくる。
叱ることと支えることの間で、心が揺れます。
その場で感情的に判断したことが、あとになって尾を引くこともある。
まるで、職場に仕掛けられた“見えない分岐点”に立たされているような気持ちになる──
それが、この問題の難しさです。
■ 実際の現場:マリーが見てきた3つの対応タイプ
マリーがこれまで実際に見てきた中で、象徴的だった対応を3つ紹介します。
● Aタイプ:即叱責型
「なんでこんなことになったんだ!」
「どうして確認しなかったのか?」
とにかくその場で強く叱責し、周囲にも“責任の所在”を明らかにするスタイル。
🟢 メリット:
- チーム全体が「ミスを軽視しない空気」になる
- 外部からの非難に即座に反応したことが伝わる
🔴 デメリット:
- 落ち込んでいる部下の気持ちをさらに萎縮させる
- 信頼関係の崩壊、離職リスクにもつながることがある
● Bタイプ:共に謝罪型
自分が直接謝罪の場に出向き、
「すみません、チームとしてご迷惑を…」と頭を下げるスタイル。
🟢 メリット:
- チームとしての“信頼性”が残る
- 部下にとって「守られている感覚」が生まれる
- その後、部下が強くなるケースがある
🔴 デメリット:
- 部下本人の責任意識が薄れる可能性も
- 外部から「本人じゃなくて上司だけが対応した」と言われるケースも
● Cタイプ:経緯整理型
まずは感情を抑え、何がどう起きたのかを部下にヒアリング。
そのうえで外部・上司対応に備える冷静なスタイル。
🟢 メリット:
- 事実関係を整理して動けるため、後からの齟齬が少ない
- 自分も部下も必要以上に傷つかない
🔴 デメリット:
- 初動対応が遅れると、相手側に「対応が遅い」と不信を持たれることも
- 部下への感情整理が後回しになることで“間”を失うこともある
■ 正解はひとつじゃない。でも、何を守りたいかは選べる
ミスが起きた時に、「正解の対応」は存在しないかもしれません。
でも──
“何を守りたいのか”を選ぶことはできます。
- チームの信頼を守る?
- 部下の成長を守る?
- 外部との関係性を守る?
- 自分自身の信念を守る?
すべてを一度に守ることはできなくても、
自分が“どこを軸に立つか”は、選べるんです。
■ まとめ:「あの時、○○さんが動いてくれて…」と言われる選択を
ミス対応は、つらくて、地味で、しんどい。
でもその瞬間の立ち居振る舞いこそが、
「あなたがどんなリーダーか」を物語る場面でもあります。
派手な言葉はいらない。
でも、行動だけは真実を映します。
「あの時、○○さんがすぐ動いてくれて助かりました」
そのひと言は、信頼を超えて“人としての絆”にもつながっていく。
▼ 「部下のミスにどう向き合うか」の次は、
“叱責か?共闘か?”迷うあなたに読んでほしい
→ 叱責か?共闘か?責任の所在に悩むリーダーへ贈る話
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