派遣という働き方を考える

「呼ばれて嬉しい…けど、居場所がわからない」派遣歓迎会のリアル

派遣という働き方を考える

「嬉しいはずなのに、なんだかソワソワする」
そんな気持ちになったのは、“歓迎会に呼ばれた日”だった。

新しい職場。
まだ人間関係も、空気の流れもつかめていない中で、
突然、「今度歓迎会やるからね」と言われた。

もちろん、誘ってもらえたことはありがたい。
でも、心の奥では――
「私、ちゃんと馴染めてるのかな」
「どんな顔をして行けばいいんだろう」
「そこに私の“居場所”ってあるのかな」って、
いろんな不安が静かに広がっていった。

誰にも言えなかったけど、
あのときの私は、正直ちょっとだけ行きたくなかった。

歓迎されるのは嬉しいのに、不安がつきまとう理由

「歓迎される」って、ポジティブなことのはずなのに――
なぜか心がざわつくのはどうしてなんだろう。

新しい職場で「歓迎会をやるからね」と言われたとき、
一瞬、「あ、ちゃんと仲間として見てもらえてるのかな」と思った。
でもそのあとすぐに、胸の奥から不安が湧いてきた。

「どんな雰囲気なんだろう」
「何を話せばいいの?」
「私、ちゃんとその場にいていいのかな」

歓迎会って、本当はありがたい場なのに、
まだ関係性が浅いときほど、“居場所のなさ”が強調されてしまう。

たとえば、すでに仲の良い人たちがいる中に、
ひとりで入っていく感覚。
輪に入れないのが怖いけど、無理に入ろうとして空回りするのも怖い。

しかも、職場の外での集まりだからこそ、
「仕事ではなく、“人としての距離”をどう取ればいいか」がわからなくて戸惑ってしまう。

「話しかけられなかったらどうしよう」
「話しかけて変な空気になったらどうしよう」
そんなふうに、会が始まる前から、頭の中は不安のシミュレーションでいっぱいになっていた。

歓迎されるのは嬉しい。
でも、それと同時に「歓迎される自分をどう振る舞えばいいのか」が、
まだわからない状態だったんだと思う。

自分だけ会話に入れない、あの空気感

会が始まると、みんなそれぞれ自然に話し始める。
仕事のこと、共通の知り合いのこと、以前の職場での出来事。
どれも、私にはまだ馴染みのない話題ばかりだった。

笑い声が聞こえても、それがどんな話題なのかよくわからない。
誰かが話している間、「うんうん」と相づちを打ってはみるけど、
それ以上は言葉が続かない。

なんとなくその場にはいるけれど、
“会話に混ざれている”という実感はなかった。

「まだ新人だから仕方ないよね」
「みんなは私のこと、気にかけてくれてるはず」
――そう思おうとするけど、やっぱりちょっと寂しかった。

空気を壊さないように、笑顔をつくって、
誰かと目が合ったら少しだけ話を振ってみる。
でも、気づけばまた話題は横に流れていって、私は静かに飲み物を口に運んでいた。

誰も私を仲間はずれにしているわけじゃない。
それはちゃんとわかってる。
でも、**“自分だけ外側にいる感じ”**って、こんなふうにしてじわじわ来るんだと思う。

無理に話しかけるのも違う。
でも、このまま黙ってるのも浮いてしまう気がする。

「居場所がない」とまでは言わないけれど、
“会話の輪に入りきれない自分”が、その場にぽつんと立っていた。

でも、そのとき私の耳に届いていたのは、
周りの笑い声や話し声だけじゃなかった。
──自分の心臓の音や、息を呑む音まで、
やけに大きく響いているような気がして。

「なんでこんなに緊張してるんだろう」
そんな自分にまた気づいて、
ますます居心地の悪さが増していったんだ。

“気まずさを感じた”のは私だけ?

「なんだか、気まずいなぁ…」
そう思いながら周りを見渡すと、みんなは普通に楽しそうにしている。
笑っている人、談笑している人、スマホをいじる人。
誰かが特別こっちを気にしている様子もない。

じゃあ、気まずいと感じているのは……私だけ?

そう思った瞬間、胸がぎゅっとなった。

「みんなは自然に馴染んでるのに、私だけが浮いてる」
「もしかして私、歓迎されてないのかな」
そんなふうに自分を責める気持ちが少しずつ膨らんでいく。

でも、冷静になって考えてみたら、
きっと誰だって“新しい場”では、少なからず気を張っているんだと思う。
そして、同じように「この空気、どう読めばいいんだろう」って
心の中でモヤモヤしている人も、実はいたかもしれない。

ただ、私の目には“みんなが平然としているように見えた”だけ。

人は、自分の心が不安定なときほど、
周りがよけいに「うまくやってる」ように見える。
でもそれは、実際のことではなく、“自分の心がそう見せている”こともある。

「私だけ気まずい」じゃない。
「誰もが、ちょっとずつ緊張してるのかもしれない」
そう思えるようになると、少しだけ肩の力が抜けていった。

“話しかけられるのを待っていた”自分

「誰かが話しかけてくれたら、そこから話が広がるのに」
そんなふうに思いながら、私はずっと席に座っていた。

笑顔でその場にいても、自分から話しかける勇気はなかった。
周囲に視線を送りながら、どこかで「気づいてほしい」と願っていた。

でも、よく考えてみたら――
私、ただ“受け身”だったんだよね。

人と仲良くなるって、
「話しかけられるのを待つ」だけじゃ、なかなかうまくいかない。
相手だって「話しかけていいのかな?」と様子を見ているのかもしれないし、
そもそも“新しく入った人”にどう接すればいいか迷っていることもある。

それなのに私は、心のどこかで
「歓迎会なんだから、私に話を振ってくれるはず」
「“新人なんだから”気を遣ってくれるのが当然」
そんなふうに、無意識に思っていたのかもしれない。

もちろん、緊張していたし、
人見知りな自分を責めたくもなかった。

でも、“誰かの声かけ”に頼ってばかりでは、
本当に自分の居場所なんて、見つけられないんだよね。

一歩踏み出す勇気があれば、
ほんの一言「このあと、どうやって帰るんですか?」なんて声をかけるだけでも、
流れは変わっていたかもしれない。

“居場所がない”わけじゃない──だけど…

歓迎会の席に、ちゃんと「自分のイス」はあった。
名前を呼ばれて案内されたし、「お疲れさまです」と声もかけてもらった。
形式的には“歓迎されている”ということになるのかもしれない。

でも、どうしてだろう。
ちゃんと居るはずなのに、居場所がない気がする。
居心地の悪さをずっと感じていた。

たぶんそれは、「輪の中に入れていない」と感じていたから。
笑い声が飛び交うなか、自分の声が埋もれてしまいそうだったし、
話しかけるタイミングも、話題に乗る余裕もなかった。

みんなが悪いわけじゃない。
誰かに無視されたわけでもない。

ただ、「空気」に溶け込めない自分がいて、
そのことに自分で勝手にモヤモヤしていたんだと思う。

それに気づいたとき、
「居場所が“与えられる”ものだと思ってたな」とも感じた。

でもきっと、居場所って“つくっていく”ものなんだよね。
時間をかけて、少しずつ、人との距離を縮めながら。

だからこのときの「違和感」も、
まだその過程にいたというだけのことだったのかもしれない。

「居場所がない」と感じたその瞬間が、
むしろ、これから自分で“居場所を育てていく”スタート地点だった。

“気を遣ってくれる人”がいてくれたから

そんなふうに、居心地の悪さを感じながら時間が過ぎていった中――
私の隣にいた一人の女性が、ふっと声をかけてくれた。

「緊張するよね。私も初めてのとき、何を話せばいいか分からなかったなぁ」
その言葉に、胸の奥がじんわりと温かくなった。

ああ、見てくれてる人がいるんだ。
ただの“新人”じゃなくて、“一人の人”として気にかけてくれる人が。

たったそれだけの一言が、救いだった。
心がふっと軽くなって、「あ、私ここにいてもいいんだ」って思えた。

その後、彼女とは仕事でも少しずつ関わることが増え、
今では気軽に話せる存在になっている。

あのとき話しかけてくれたのが、たまたま彼女だったこと。
そして、私の不安に気づいて、そっと声をかけてくれたこと。

その“偶然”があったから、
「誰もわかってくれない」と感じていた私の気持ちは、少しずつほどけていった。

職場に慣れるのって、仕事内容だけじゃないんだよね。
“人間関係”という、目に見えない環境に慣れていくことこそが、
本当の意味での「居場所づくり」なんだと思う。

少しずつ「私の居場所」になっていく、ということ

あの日の歓迎会は、たしかに少し気まずかった。
輪に入りづらくて、ずっと緊張していて。
正直、「もう二度とこういう集まりには行きたくない…」って思ってた。

でも今振り返ると、
あのとき自分なりに頑張って席に着いて、
何もできなくても「そこにいた」こと自体が、小さな一歩だったんだと思う。

そして、その場にいた人たちと、少しずつ言葉を交わすようになって、
顔を合わせるうちに笑顔を返し合えるようになって。
時間はかかったけれど、確かに変わっていった。

「居場所」って、
用意されているものでも、誰かが作ってくれるものでもない。

自分の存在を少しずつ「馴染ませていく」ことで、
そこが自然と“私の場所”になっていくんだ。

完璧に打ち解けてなくてもいい。
無理してテンションを合わせなくてもいい。

でも、今日もそこに“自分の席”があるなら――
それはもう、ちゃんと「居場所」なんだと思う。

「私からも、誰かに声をかけてみようかな」って思えた瞬間

歓迎会が終わって数日――
いつも通り、黙々と業務をこなしていたある日、
あのとき、隣に座っていた先輩が、さりげなく声をかけてくれた。

「最近、ちょっと慣れてきた?」

その言葉に思わず笑ってしまった。
「いや、まだ全然で…」と答えたけれど、
ちゃんと見てくれている人がいるんだな、って、じんわり胸が温かくなった。

それからは、少しずつだけど、
自分からも「おはようございます」と声を出すタイミングをつくったり、
ランチに誘ってもらったときに「ご一緒してもいいですか?」と返してみたり。

そんな小さな一歩を踏み出すことで、
あの“居場所がわからなかった歓迎会”の夜とは違う気持ちが芽生えてきた。

“人にどう思われるか”ばかり気にして、ずっと縮こまっていた私だけど、
もしかしたら、誰かにとっての“安心できる空気”をつくれる存在にもなれるかもしれない。

そう思ったとき、自分の中のなにかが、少しだけ変わった気がした。

そしてあるとき、職場に新しい人が来たとき、
自分でも驚くくらい自然に「今日は緊張しますよね」と声をかけていた。

「私からも、誰かに声をかけてみよう」
そう思えるようになったのは、きっと、あのときの不安や孤独を知っているから。

居場所がないと思っていた私が、
今は誰かの“居場所をつくる側”になれているかもしれない。

最後に:同じように感じたことがあるあなたへ

新しい場所に飛び込むって、想像以上にエネルギーがいるよね。
どんな人がいるんだろう? ちゃんと話せるかな? 浮いてないかな?
そんな不安を胸に、笑顔をつくって席に着く。
それだけで、すごくがんばってると思う。

私も、歓迎会の席でうまく話せなくて、
「呼ばれたけど、ここにいていいのかな」って思ったことがある。

でも、そんな経験をしたからこそ、
誰かが話しかけてくれることのありがたさや、
少しずつ「居場所」ができていく喜びを感じることができたんだと思う。

今、同じように不安を感じているあなたがいるなら、伝えたい。

居心地の悪さは、あなただけのせいじゃない。
最初からうまくいく人なんて、ほんのひと握りだよ。
大事なのは、少しずつ「ここにいてもいいかも」って思える瞬間を見つけること。

そして、そんな瞬間をつくってくれる人がいたなら、
それはもう、とても大きなご縁なんだと思う。


今回のエピソードに、少しでも共感するところがあったら、
あなたの経験や気持ちも、ぜひコメントで聞かせてください。

「あなたの居場所」、きっとこれから見つかっていくから。
それでは、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


今でこそ、こうして歓迎会に出るまでになったけれど──
実は登録してから「仕事の紹介がなかなか来ない…」と悩んでいた時期もありました。
派遣会社に登録したけど、仕事紹介っていつ来るの?──待つ間に知っておきたい「大切なこと」 では、その“待っていた時間”に私が大切にしていた考え方をまとめています。

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